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【記事】「思いを共有すること。」

2006/03/26

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練習場脇の桜も少しづつ春の訪れに準備を始めつぼみから開花へと様態を変化させている。4/3の入学式に備え、粛々と準備を進める桜と同じように、チームも「すこしづつ成長の兆し」を見せ始めた。

469.jpg                       <スクリメージ>

シーズンインして1ヶ月半。例年でいくと丁度最初の『マンネリ化』がやってくるタイミングでもあった。毎年、この季節春の試合まで少し時間があることと、シーズンインからずっと基礎練習を積み重ねてきたことにより、知らず知らずのうちにどこか気が抜けてしまうことがあった。今年も例外ではなく、主将西尾をはじめとする4年生も毎日頭を悩ましながら練習に取り組んでいる。

 

「ひとつだけどうしても言いたいことがある。」

 

最後の全体ハドルの中で、強い語気を以って皆に言い放ったのは本年度キッキングキャプテンを務める4年生DL徳間であった。本年度、改めてキッキングの重要性を見直そうということで春から準備を始めていた。新しい取り組みとして、今年はキッキングにおいて普段実施しないタックリングを要求されるオフェンスメンバーのタックリング技術向上のため、全員で本チャンの3ydタックルも導入している。QBの井ヶ田も例外ではない。彼もタックルをする機会がある。(必死に取り組んでおり、コーチが「本当はディフェンス向きなのか??」と思うほどのタックリングを発揮している。。)

470.jpg                        <タックル練習>

また、練習の最後には1本のフィールドゴールトライを設けている。スナッパー・キッカー・ホルダーがノープレッシャーでただ一度のチャンスを与えられ、キックする。周りでは選手全員で手を結び合いひとつになって彼らを見守る。試合と同じ緊張感、プレッシャーをというのがその狙いだ。

467.jpg                        <キックの成功を皆で見守る>

スナップ。

そしてキック。

結果は。ノーゴール。

 

ボールはポールから大きく外れた。落胆するキッカー。頭を下げる選手。

「さー、バーピーだ!」徳間の大きく元気な声が落胆している選手たちに対し隙を与えず発せられた。バーピーとは、立った状態→しゃがんで→地面に胸をつけ→立つというような一連の動きを連続で行う心拍数の上がる運動。キッキングユニット3名以外の全選手が一斉に号令のもと開始する。

466.jpg                        <バーピーをするWR楠>

アクションをしたキッキングユニットは実施しないで脇で見ているだけにしている。息の上がる選手、そしてそれを申し訳なさそうに見つめるキッキングユニット。この春取り入れた、『キッキング一本の重要さ』を体感するための施策だ。練習後、徳間は全員ハドルの中、思いの嶽(たけ)を述べた。

471.jpg                     <キッキングキャプテン徳間>

キッカーが蹴る瞬間、全員がその『一瞬』に集中して全ての思いを込めることができたのだろうか。どこかで、「外れてしまうかもしれない」、とか、「自分には関係ない」、といった気持ちを数%でも持っていたのではないだろうか。わずかであってもそう思う人間が存在していたのであれば、絶対に決まるわけがない。現に、今日、キックを蹴る瞬間まで下を向いていたり、目をそらして集中していない人間がいたのを目にした。キッキングユニットは単なる皆の代表であって、特別なものでも何でもない。皆の思いを代表して前に立っているだけだ。

「こんな状態であればキッカーが外して当然だ!蹴る前から結果は出てたんだ。」

まだまだチームの気持ちがひとつになっていないことに対する憤りと自戒の厳しいコメントを発した。言葉をかぶせるように主将の西尾も皆に言葉を放った。

「キッキングだけではない。その他の全ての行動が同じだ。我々はまだまだ甘い。」

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<主将西尾。最後のハドルにて>

試合中、選手とその周りのスタッフが絶妙のチームワークを持っていない限り、勝利をすることが出来ないのがアメリカンフットボールというスポーツ。練習でこういった反省が出ている限り、本番の試合でチーム一丸となったパフォーマンスを発揮することなんて出来るわけがない。体力や技術のトレーニングはすこしづつ見えてきた。しかしながら、全てのベースとなるべき部分の欠落がまだ多く見られる。

 

西尾は練習前、練習後こう語っていた。

「何かわからんけれど、今日も無性にほんまに勝ちたい。何が何でも勝ちたい。そう思う。ほんまに勝つための練習をしていこう。」

初戦の東大戦まで1ヶ月。チームはまた一つ目に見えないものを学んだようだ。


<記事/写真:石坂政一>